春が終わるころ

高原の森の小径を歩いていて

ところどころ雪が残っているのを見つけた

 

日陰ではあるが

あと数日もたてばそれは

落葉松林の土の中に

溶けて消えてしまうだろう

 

近くに寄って覗き込むと

その上には植物の枯れた葉や

小さな枝のかけらなどが散らばって

陰影が美しかった

 

つい春先まで雪は広大な一枚のキャンバスで

森のひと冬の巨大な肖像をその面に

人知れず写しとっていたに違いない

 

足下に消えゆくこの小さな雪の絵は

それのほんの

断片にすぎないのだ

2008年「雪の記憶」展

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